IT業界とカタカナの乱用

最近(2013年6月)あるNHK視聴者が、NHKのテレビ放送には外国語が多すぎる、と裁判を起こしたことがマスコミに取り上げられた。
カタカナ(外国語)が多用される業界という点では、IT(ICT)業界はその最たるものだろう。
IT業界には、英語略称やカタカナ表記が氾濫している。
さらに、その中には標準規格で定義された正式の名称・略称と、流行り言葉(ジャーゴン)がごちゃまぜになって使用されている。
流行り言葉の中には、時を経てほぼ定着しているものもあれば、まだ概念として人々の間で共有されていないもの、あるいは過去に使われた流行り言葉を別の流行り言葉に置き換えて使用しているケース、などがある。
IT業界にさほど詳しくない人から見ると、何が言いたいのかさっぱり分からない、胡散臭い世界に見えるのではないかと思う。

私は専門外だが、マーケティングの世界も同じような傾向があると感じる。特に最近は、Webマーケティングに代表されるように、マーケティングの世界にもITが多用されていることが、流行り言葉の氾濫に拍車をかけているように見える。
最近のマーケティング業界の流行り言葉に「アジャイル・マーケティング」というのがある。
これは 、ソフトウェア開発の「アジャイル手法」(「アジャイル開発とウォーターフォール開発」参考)をマーケティングの手法に適用する試みである。
マーケティングとITは益々密接な関係を持つようになってきている。

流行り言葉の中で、業界内でほぼ定着したものの例として、「クラウド」がある。
しかし、最近はこれをさらに推し進めて、「パブリック・クラウド」と「プライベート・クラウド」に分け、クラウドではない旧来型の自社システムを「オンプレミス」などと称している。
「プライベート・クラウド」は、「プライベート・ビーチ」を連想させる言葉なので、IT業界に詳しくない人は、「新しい避暑地のコンセプトか!」と勘違いして驚くに違いない。

「ビッグデータ」も最近の流行り言葉であるが、これなどは概念が確立して共有化されているとは言い難い。
統計解析やマイニングは、以前からあるコンピューターの利用分野であり、SASなどのソフトウェアが有名である。
ビッグデータが従来の統計解析やマイニングと何が異なっているのか、私には良く分からない。
多分、データ量が膨大である、などのいい加減な答えが返ってくるものと思われるが、「では、膨大とは、何ギガ、あるいは何テラ、何ペタバイト以上のものを言うのか」と突っ込みたくなる。
NHKや新聞までもが、「ビッグデータ」という、定義があいまいな用語を平然と使用しているのには、いささかあきれてしまう。
これでは、視聴者が訴えるのも致し方ないことだと思う。

流行り言葉には今一つ困った問題がある。
それは、「流行り言葉=最新の技術」と考える人がいる、ということである。
もっとも、IT業界のベンダーや出版社などがそのように誘導している、という側面もあるのだが。
先に挙げた「ビックデータ」や「クラウド」もその代表である。
プライベート・クラウドと称しているものの多くは、自社内のサーバー・ファームを構成するサーバーやネットワークに対して、仮想化技術を適用したものを指している。
仮想化技術そのものは汎用機の時代からあったものであるが、LINUXサーバーやネットワークにおける仮想化技術は、進化しつつある新しい技術だと言える。
従って、プライベート・クラウドそのものが新しい技術を指している訳ではない。

我々IT業界に身を置くものは、徒に流行語や専門用語を使わないよう留意すべきだと思う。
特に、ユーザーマニュアルなどの一般ユーザー向けのドキュメントを作成するときには注意が必要だ。

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