7月19日に、ベネッセホールディングスから個人情報が大量に流出した事件を題材にブログを記した。
その中で、この事件の背景にあると思われる、多重請負におけるモラルとモラールの問題を指摘したが、その後のメディアの記事やインターネット上の意見を見て、少々違和感を感じる点があった。
それは、末端の担当者(再委託先と労働契約なり雇用契約を結んで現場の作業を遂行する担当者)の処遇や給与水準が原因の1つであるとする論調のものが少なからず見られることである。
つまり、この問題に対する主要な対策の一つが、処遇や賃金の改善であるとするものである。
この論は間違いとは言えないが、担当者に対する動機付けという観点では不十分である。
職務の満足、不満足に関する理論に「ハーズバーグの二要因理論」というのがある。有名な理論なので、Webで検索すれば多くの情報が得られると思うが、以下に簡単に記しておく。
これは、職務の「満足」に関わる要因と、職務の「不満足」に関わる要因は別物であるという説である。満足に関わる要因を「動機付け要因」と言い、不満足に関わる要因を「衛生要因」と言う。
ここで、処遇や賃金は「衛星要因」である。
衛星要因が満たされないと職務に対して不満を感じるが、衛星要因が満たされたとしても職務満足にはつながらない。
職務満足につなげるためには、「動機づけ要因」が必要である。
これをくだんの事件にあてはめると、もしも担当者が処遇や給与に不満を持っていたなら、それを改善する対策が必要になるが、それだけでは、仕事に対する責任やコミットは引き出せない、ということである。
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