2015年 12月

「顔データは個人識別符号という個人情報にあたる」という記事があった。2015年秋の個人情報保護法の改正により、監視カメラで撮影された画像から顔データとして個人を識別すれば、それは個人情報にあたるという。
2015年12月29日読売新聞(デジタル)の記事である。記事で取り上げられていた事例はおおよそ以下の内容である。

小売店に設置された監視カメラの画像から顔データを抽出して個人を認識する。これをPOSデータと突合することで、個人の購買履歴が分かり、品揃えや販促などのマーチャンダイジングに利用できるというものである。
また、別の小売店では、万引きの前歴がある(と、おぼしき)人の顔データと、監視カメラから抽出した顔データを突合することで、万引き対策に使用しているという。
これらは、監視(犯罪の予防)という本来の目的から外れている。個人情報であれば、その利用目的を本人に通知するか、公表しなければならないから、これらの事例は個人情報保護法に違反している可能性がある、との見解であった。

コンピュータが、監視カメラの画像から特定の個人を識別するという仕組みで思い出すのが、アメリカドラマの「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット」である。
このドラマに登場するマシン(コンピュータ)は、もともとはテロを事前に予知する目的で開発された。マシンは全米の監視カメラの画像やその他のシステムからの情報を分析して犯罪を事前に予知する。そして犯罪に関わると予測した個人の社会保障番号をアウトプットする。
但し、マシンが予知した人物が犯罪を犯すのか、または犯罪の被害者になるのかは分からない、というところがこのドラマのミソである。ドラマの主人公達が、犯行が行われる前に被害者を救済しようとしたところ、実はその人物は加害者だった、というどんでん返しが待っていたりする。
少々SFっぽい内容であるが、現実のコンピュータもかなりこのドラマのマシンのレベルに近づきつつある。監視カメラの画像から人間の顔を抽出し、顔の特長から特定の個人を認識することは可能になってきている。(但し、全米の監視カメラの画像からほぼリアルタイムに処理を行うには、膨大なコンピュータリソースが必要になると思われる)
また、機械学習の技術を利用して、過去の犯罪データから犯罪が起こりそうな場所を推測するということも可能になってきている。
私達の行動は、監視カメラとコンピュータによってリアルタイムに監視されている・・・、そういう社会になりつつあると言えるだろう。犯罪を防止するため、あるいは犯罪捜査のために監視カメラの設置はやむを得ないことと思いつつ、それ以外の目的で利用される恐れもあると考えると、少々不気味である。

監視カメラから抽出した顔データが個人情報だとすると、
①本人の同意を得ずに、利用目的の範囲を超えて個人情報を利用した場合(利用目的違反)
②偽りや不正な手段によって個人情報を取得した場合(取得違反)
個人は事業者に対して、利用停止や削除依頼が出来ると思われる。当該企業が当の個人からデータの削除を依頼された場合、本当に関連データを含め対応が出来るのか、少々気になるところではある。
(裏を返せば、事業社は個人から情報の開示や削除を求められた場合に対応できるよう、事前に策を講じておく必要がある)

個人情報保護法をめぐっては、法律施行後3年ごとにこの法律、規則、政令に対して見直しが行われる。また、マイナンバー制度の導入で特定個人情報という新しい概念が加わったことなど、法律の門外漢にとっては随分と分かり難いものになってきているように感じる。

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