新聞・雑誌コンテンツの有料化

嘗ては無料で閲覧できたネット上の新聞記事、最近少しずつ有料の記事が増えている。
記事の途中までは無料であるが、それ以降は会員のみ閲覧可能、あるいは、有料会員限定の記事、など形態はさまざまである。
日経コンピューターなどの雑誌は、雑誌の定期購読と電子版の閲覧の両方を提供している。定期購読の読者であっても、電子版を閲覧するためには別途料金が掛かる。(注:2018年以降は無料になるようだ)
ネット上の記事は永らく無料が当たり前だと思われていたので、一気に有料化するのは難しいのだろう。
有料化の背景には、出版不況や若年層を中心とした新聞離れ、広告収入の減少(新聞や雑誌に掲載される広告の減少。ネットの広告は相対的に増加している。)があると思われる。
特に広告収入の落ち込みは新聞社や出版社の業績に大きな打撃を与えている。
不況になると新聞広告では旅行業社の広告が増える、という話を聞いたことがあるが、最近は旅行広告どころか、嘗ては男性向け雑誌にしか掲載されていなかった精力剤の広告(明らかに男性自身を象徴するマンガ入り)まで掲載している。

さて、ニュース記事などのコンテンツを有料化できるか、ということであるが、ニュースである以上、そもそもの信頼性がどの程度か、ということが重要になってくる。
昨今の誤報問題(iPS心筋移植を一面トップで報じた問題。尼崎連続変死事件における容疑者顔写真の取り違え問題。)を見ると、信頼性が低下していると思わざるを得ない。
次に考慮すべきは、Twitterなどに見られる、一般人によるニュース発信である。
プロの記者ではないので信頼性は高くないが、人数が多いだけに速報性に勝る場合がある。
電車事故や交通事故、火災などが発生すると、たまたまそこに居合わせた人が、現場の写真入りで速報をアップしていたりする。百聞は一見に如かず。写真や動画は現場の状況をかなり的確に伝えることができるのでインパクトがある。

こうしてみるとコンテンツの有料化は難しそうに見えるが、必ずしもそうではないだろう。
嘗て日本では”安全はタダ”だと思われていたが、今や警備業界は1兆円を超える市場規模を形成している。(セコムがこの業界の開拓者であり最大手であるが、いまはALSOKの方が元気に見える。 ロンドンオリンピックとTV広告との相乗効果か・・・?)
速報性では市井の即席アマチュア記者にかなわない面もあるが、取材を重ねた深みのある記事や、見識のある記事は十分に有料化が可能と考えられる。

それにしても、意味もなく記事の後半を会員限定にするのは止めて欲しい。
どのような記事を有料にするのか、企業としてのポリシーをはっきりさせるべきでだろう。


2017年5月追記:
ニュースコンテンツを取り巻く状況は、このブログ記事を書いた2012年から変化してきている。
2017/5/11の朝日新聞デジタルに「ニューズピックス、課金モデルで黒字化 月額1500円」という記事が出ていた。
ニューズピックスは自社編集部の独自記事によって有料会員が増え、経営が黒字化した、というものだ。大手メディアが軽視しがちなITやベンチャーのニュースには、意外に高いニーズがあり、そのようなニッチな分野を狙って独自記事を展開しているらしい。さらに、コンテンツの差別化だけでなく、スマホで閲覧する際の見せ方や操作性にも工夫をしているようだ。
「インターネット上のニュースはタダ」に一石を投じる成果だといえる。


2018年2月追記:
新聞の重要な役割に「権力の監視」があることを山田順氏が指摘している(「本当は怖いソーシャルメディア」小学館)
これは重要な指摘だと思う。もっとも、メディアの中には政府に迎合するようなところもあるが・・・。
山田氏は、さらにネット上の記事の弊害についても指摘している。
「日本の匿名ブログは既存メディアが報道した記事をコピペして、それに取るに足らない雑感を書き足しているだけのものが多い。・・・ブログのために自ら取材するような人間はいないから、この世界に既存メディアのジャーナリズム機能を代替する力は今のところない。ネットは記者のプロフェッショナリズムとモラルを崩壊させる方向に進んでいる」
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