Amazonなどのネットショップで商品を購入すると、その後「あなたにお勧めの商品」という提案がメールで届いたり、あるいはネットショップのマイページ上に表示されたりする。
この「おすすめの商品」をピックアップしているのがレコメンドエンジンである。
おすすめの商品を見ていると幾つかのタイプがあることに気付く。
・過去に購入した書籍の情報をもとに、その著者の最新作や関連作品を提案するパターン。
・過去に購入した商品に対して、同じ商品を購入した人が関連購買する商品(よく購入する商品)を提案するパターン。
・過去に映画のDVDなどを購入した場合、最新作や話題になっているDVDを提案するパターン。
などである。
これらの「おすすめの商品」、何気なく見ている人もいるだろうが、少し考えてみれば、購入者の趣味、嗜好や年齢、性別などが分析されているという事実に気付くから、少々気味悪く思う人もいるだろう。
また、これらの個人情報が流出するリスクを懸念する人もいるだろう。特に、あまり他人に知られたくない商品を購入した場合はなおさらだろう。
このおすすめの商品をピックアップするレコメンドエンジンに関する記事が、日経コンピュータの11月12日号に載っていた。
大地を守る会をケーススタディした記事である。大地を守る会は、有機野菜を中心とした宅配サービスを展開する会社である。
この会社はレコメンドエンジンを刷新することで売り上げを伸ばしているという。記事では4つのタイプのレコメンドエンジンが取り上げられている。
反復性エンジン、新規性エンジン、嗜好性エンジン、周期性エンジンの4つである。
反復エンジンは、過去に一度でも買ったことのある商品を勧めるエンジンである。
これと少し似ているのものに周期性エンジンがある。過去の購買品のうち、お茶や調味料など一定の周期で購買する商品を勧めるエンジンである。
新規性エンジンは、顧客の嗜好に応じて、新商品の初回購入を勧めるエンジンである。そして嗜好性エンジンは、過去の購入データをもとに顧客の嗜好を分析し、季節性などを加味して商品を勧めるエンジンである。
4つのエンジンは単独で使うことも可能だが、顧客のステージに応じて使い分けているそうだ。新規性エンジンで初回の購買を促し、その後は反復性エンジンや周期性エンジンで反復購買を促すという具合だ。
リピーターを増やし、関連購買で顧客単価をあげ、ロイヤリティも高めるという定番の戦略ではあるが、具体的な戦術がネットショップ上にうまく組み込まれていると感心する。
ネットショップの裏側では、顧客の属性や購入履歴が蓄積され、そのデータを基に顧客の趣味嗜好が分析され、反復購買や関連購買を促す仕組みが動いている。
最近は共通クーポンが増えている。共通クーポンでは複数の店舗を横断して顧客の嗜好を分析することが可能になる。関連購買の幅を広げることもできるだろう。
顧客の側の視点でみると、買い忘れを防止するというメリットがあるものの、我々の趣味嗜好が知らぬ間に企業によって裸にされ、把握されているという不気味さを感じさせるのである。
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