facebookと個人情報保護

2023年9月13日

およそ10年前に個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)が施行されて以来、企業だけでなく個人においても、個人情報の取り扱いに対して非常に神経質になっている。
特に企業においては、個人情報の漏えい等の問題が度々発生していることから、個人情報の厳格な管理と、運用に対する統制や監査が求められている。一方で、facebookなどのソーシャルメディアの利用者が増え、個人情報が簡単に閲覧できるという、相矛盾した状況が存在している。
例えば、事件の容疑者の名前がマスコミで報道されることがあるが、facebookで検索すると当人と思われる人物のページを発見することがある。
さらに、該当人物と交友関係のある”友達”までも分かってしまう。
事件を捜査する側から見れば、これほど便利なツールはないのではないだろうか。

このような状況になっているのは、推測するに、個人が自身の情報を誰に対してどこまで公開するのか、といったポリシー(方針)に対する認識や感度が不足しているためだと考えられる。
facebookには、プライバシーに関するアクセス制限の設定があるが、そのことをよく理解していないと思われるケースもある。「友達以外でも見れるとは知らなかった」などの声を度々聞くことがある。
さらに、アクセス制限が本当に正しく機能しているのか、簡単には確かめられないのも問題かもしれない。
正しく機能しているか確認するためには、友達と友達でない人にログインしてもらって、それぞれどの範囲まで公開されているのかをチェックするしかない。

facebookを見ていて気になる点がある。
それは、自分の子供の写真をアップロードしているケースが多いことである。
子供の近況や成長を、友達や親類に見てもらいたいと思うのだろう。
しかしながら、特に幼児の場合は、未だ自分自身のプライバシーポリシーを決定するだけの判断能力がないから、親の判断でポリシーを決定していることになる。
写真をアップロードする場合は、アクセス制限の設定を慎重に行って欲しい。アクセス制限が掛かっていない場合は、ネット上に一般公開しているのと同じである。

スマートフォンやタブレットの普及でネットの利用者が増えるのに伴い、ネットを使用した犯罪や事故は今後とも増えることはあれ、減ることはないと考えられる。
個人においても、情報管理に対する高いリテラシーが求められている。


2018年4月追記
上記ブログ記事を掲載してから既に5年以上が経過していることから、フェースブックを取り巻く環境も随分と変わってきた。近年はフェースブックの若者離れという言葉を耳にするようになったが、依然フェースブックを利用するユーザーは多い。フェースブックと個人情報に係る最近の情報を追加する。・イギリスのデータ分析会社が、不正に入手したフェースブック・ユーザのプライバシー情報を使って米国の有権者の思考や嗜好を分析し、2016年の米大統領選の工作に利用していたことが判明した。
フェースブックから流出したユーザ情報は8700万人におよび、米国ではフェイスブックに対する怒りが沸騰している。
この事件で問題になったのは、「フェースブックは2010年から2014年まで、ユーザが許可しなくともデータを取り出せる仕組みを用意し、これをAPIとして提供していた」ことである。ユーザとその友達は知らないうちにデータを摂取され、利用されていたことになる。
今ひとつ明らかになったことは、フェーズブックの利用者が「いいね!」をした記事や商品などの情報から、その人の性格や性的嗜好、政治的見解などが分析できてしまうということである。
(出典:日経コンピュータ 2018年4月12日号)

・最初の記事の中で、「自分の子供の写真をアップロードしているケースが散見される」ことを指摘したが、子どもの写真が小児性愛者のグループによって勝手にコピーされるケースがあったようだ(肌や下着の露出が多い子供の写真の投稿は注意するようにと、一部のメディアが注意喚起していた)。


個人情報とプライバシー情報の違い、個人情報をめぐる問題に関しては、こちらもご参照下さい。

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