2013年 4月

新しい時代のマーケティングの在り方を記載した、
フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ、イワン・セディアワン著
「コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則」
の紹介です。マーケティング3.0

本書の定義によれば、マーケティング1.0が製品中心のマーケティング、マーケティング2.0が消費者志向のマーケティングであったのに対して、マーケティング3.0は価値主導のマーケティングであり、
「協働マーケティング」、「文化マーケティング」、「スピリチュアル・マーケティング」の融合である。

「協働マーケティング」は、企業と消費者との協働であり、企業の製品開発やコミュニケーションに消費者が参加することを指している。
消費者は、製品やサービスの共創を通じて価値創造の中心的役割を果たすようになる。

「文化マーケティング」は、文化的課題を企業のビジネスモデルの中心に据えるマーケティングである。
本書では、グローバル化のパラドックスに関する興味深い考察が述べられている。
グローバル化はすべての国にとって平等な土俵を生み出すが、同時に諸国に脅威をもたらす。
そのため、諸国は国内市場をグローバル化の影響から守ろうとする。
すなわち、グローバル化の進展は、ナショナリズムを呼び起こす、というのだ。
これは今日の日本の状況にも当てはまっているように思う。
大企業はもとより、中小企業も海外進出する時代になり、グローバル人材の育成が急務と騒がれている。
インターネットの世界では、既に国境は存在しない。
それにもかかわらず、ナショナリズムの意識が高まっているのは、まさにパラドックス、人間の心理面で言えばアンビバレンツの表れと思われる。
グローバル化が進展すると、これに対抗する勢力として、地域や地域文化に根差した製品やサービスが産み出される可能性も示唆しているように思われる。

「スピリチュアル・マーケティング」は、創造的社会の時代に呼応した、消費者の心理的精神的便益を向上させるマーケティングである。

マーケティング3.0は、マーケティングのやり方が消費者の行動変化や態度変容によって大きく変えられる段階である。
それは、消費者がより協働的、文化的、精神的なマーケティング手法を求める、より洗練された形の消費者中心の段階である。

本書は、マーケティング3.0について、その戦略や方向性(将来モデル)、実際の企業事例と関連する話題が書かれている。
新しいマーケティングの概念を規定していることと、広範囲な話題が盛込まれていることから、私の理解が及ばないところも多くあった。
例えば、「価値ベースのマトリックス(VBM)モデル」では、「マインド」と「ハート」と「精神」を使い分けているが、実際のところこの3つの概念の違いが良く分からない。
特に「ハート=心」と「精神」の概念は、人によって、あるいは文化によって、相当に異なっていると思われる。
英語が得意な方は、原文をあたられた方が良いのかもしれない。

本書を読み解く上で難解な部分はあるが、製品がコモディティ化する成熟市場において、マーケティングが新しい時代に突入していることは 間違いなさそうである。
今後の企業経営の在り方や、企業を取り巻く社会環境・消費者の変化を考察するうえで、本書には参考になる点が多い。

 

 

 

 

 

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