2018年 1月 14日

IT系の雑誌やWeb情報のなかで連日目にするのがAI(人工知能)関連の記事である。第3次AIブームは少々過熱気味のようにもみえる。
AIに関する記事を技術面からみると、機械学習や深層学習、画像認識、自然言語処理に関するものがほとんどである。しかし、なかには技術面が良く見えない記事もあり、これも本当にAIの範疇なのか? 疑わしいものもあるように感じる。
最近は、将来の労働力人口減少への対策とからめて、知識労働者の生産性向上という文脈で語られることも多い。AIが過去の判例を使用して弁護士の仕事を助けたり、患者の症状と過去の症例を照合して医者の診断を助ける、などの類である。

ホワイトカラーの生産性向上という観点で、最近はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に関する記事も増えている。
RPAは当初金融業界を中心に使われてきたが、最近は他の業種にも広がりをみせている。RPAはパソコンを使う定型業務を自動化するツールである。
EXCELのマクロをイメージすると分かり易い。EXCELのマクロはEXCELの中でしか使えないが、これを他のアプリケーションとの連携(例えばWebブラウザへの入力など)にも拡張したようなものである。
具体的には、RPAツールが提供するソフトウェアロボットが、人間によるパソコンの操作を代行する。これを実現するために、ロボットに代行させる操作を事前に教える必要がある。
人間が行っている操作を作業単位に分解して、シーケンシャルや条件分岐などを使って指示を組み立て、ソフトウェアロボットに入力する。簡易な手続き型言語と同じである(なんとなく小学校のプログラミング教育を想起させる)。
具体的な製品として、RPAを謳うツールが幾つか出ている。
日経コンピュータ誌(2017年11月23日号)によると、
Automation Anyware Enterprise、BizRobo!、Blue Prism、WinActorなどの製品があるようだ。

RPAは(雑誌の記事などを読んだ限りでは)導入のハードルが比較的低いようで、この点はかつて(10年位前か?)流行ったEUC(エンドユーザーコンピューティング)に似ている。
EUCとは、ユーザ部門(業務部門)の人たちが、自分たちが使うシステムを自分たち自身で開発し、運用することである。
主にEXCELのマクロや簡単なスクリプト言語を使用することで、IT部門の力を借りずに日常の業務の効率化を図ってきた。
その後、EUCの問題点として指摘されるようになったのがシャドーIT問題である。
シャドーITとは、IT部門が管理する情報システムとは別に(IT部門からは見えない)システムが社内に存在することである。シャドーITの問題点は、例えば、EUCで開発したプログラムについて、

・開発者が人事異動でいなくなったためにプログラムの維持・保守ができず、その後使われなくなったまま放置される
・上記に関連して、設計ドキュメントがないか、あるいは不十分なために保守ができなくなる
・セキュリティ対策が不十分なために情報漏洩などの問題を起こす
などである。
RPA導入でこのような問題を引き起こさないよう、IT部門が関与してルールやガイドラインを整備する、などの対策が必要になるだろう。
ドキュメンテーションについては、アジャイル開発が注目されるようになったことによる弊害もあると感じる。
アジャイル手法の基本的な考え方のひとつに「包括的なドキュメントよりも機能するソフトウェアを重視する」というのがある。これは実際に動くプログラムを優先する(早く作成する)という意味であって、ドキュメントが不要だと言っているわけではない。(と私は思っている)
これが(勝手な解釈によって)ドキュメントは不要という考えに繋がったようである。
品質管理の観点で考えると、ドキュメントがないとプログラムが属人化する、すなわち開発者がいなくなるとメンテナンスができなくなる、という問題がある。
ソースコードとコメントがあれば大丈夫と考える人もいるのかもしれないが、それだけでは無理である。

日経コンピュータ誌(2017年11月23日号)は、RPAを導入する際の留意点をいくつか挙げている。そのなかで、「ソフトウェアロボットは導入したら終わりではなく、導入後も改善を継続する必要がある」というのがある。また先に指摘した保守を見据えたドキュメンテーションについても触れている。EUC導入後の反省を振り返るべきであろう。

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