個人事業主の白色申告と記帳ソフト

2023年7月7日

平成26年1月から、白色申告をする個人事業主は「全て」、「記帳」と「帳簿書類の保存」が必要になった。
これまでの記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、白色申告を行う人のうち前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超える人だけであった。
これが、事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずる業務を営む「全ての人」が対象になったわけである。
記帳する内容は、売上げなどの収入金額、仕入れや経費に関する事項について、取引年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等となっている。
記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっている。
このような背景からか、昨今、無償の「記帳ソフト」が増えている。
無償ソフトを提供する事業会社としては、いずれは有償版の記帳ソフトに、さらには会計ソフトに移行してもらう狙いがあるのだろう。
記帳ソフトを利用する側(個人事業主)から見ても、どうせ記帳するなら、いずれは特別控除などの恩恵を受けられる青色申告に移行したいと考える人も多いのではないだろうか。
この種のソフトを「機能面」から大まかに分類すると、
①簿記の知識がなくとも記帳ができる「記帳ソフト」
②青色申告にも対応できる(正規の複式簿記に準拠した)「会計ソフト」
に分けられる。
また、「システム形態」で分類すると、
(a)クラウド型
利用者側はブラウザだけがあれば良く、インターネット経由で事業会社のサーバーに接続する形態。
システムが提供する機能とデータは事業会社のサーバ上に存在する。
(b)端末アプリ型
ソフトウェアを端末にインストールして利用する形態。
システムが提供する機能とデータは、端末側に存在する。
になる。

さて、各種製品の中からどれを選ぶのか?
簿記の知識がない場合は、①の記帳ソフト、多少なりとも簿記の知識がある人は②の会計ソフト、という選択が穏当だろう。但し、①の記帳ソフトは、「青色申告」を前提とした場合には機能が不足する可能性があるので、「何れは青色申告を・・・」と考えている方は、早めに②の会計ソフトに移行した方が良いと考える。
②の会計ソフトでも、仕訳のヘルプ機能や、簡易入力機能などが提供されている製品であれば、簿記の知識がほとんどない方でも使えると思う(習うより慣れろである)。

いわゆるフリーウェアや、シェアウェアと呼ばれるソフトは、「Vector」などのWebサイトで検索すると多くの製品が出てくるのだが、大手の製品で①の記帳ソフトに分類されるものは、弥生の白色申告、JDL IBEX出納帳Et、free(フリー)といったところであろうか。
弥生の白色申告とfreeは、(a)のクラウド型、JDL IBEX出納帳Etは(b)端末アプリ型である。
さて、弥生の白色申告、JDL IBEX出納帳Et、freeは、それぞれ無償を謳っているのだが、実際には制約がある。
弥生の白色申告とJDL IBEX出納帳Etは、Webサイトの説明を読むと「1年間無償」と書かれている。つまり、2年目以降は有償になると思われる。
一方freeは、機能を使うのは無償だが、無償版のデータ保存期間は3ヶ月と記されている。どうやら3ヶ月を超えてデータを保存・管理することが出来ないようだ。
3ヶ月を経過する前にデータをバックアップし、その後リストアすれば無償で運用を継続できそうであるが、それだと運用が煩わしい。
結局、各社が提供する無償版は「お試し版」の位置付けであり、製品が気に入ったら有償版に移行してもらうことが前提になっているようだ。

記帳ソフトの機能面にふれておく。製品の多くは簿記の知識がなくとも入力できるように配慮された、シンプルな入力画面である。 収入(お金のIN)と支出(お金のOUT)に分けてデータを入力する構成で、現金主義会計に近い感覚である。
入力時に簿記の仕訳を意識させない作りになっているので、入力する勘定科目に対する相手勘定は表示されない。
この相手勘定が表示されない入力方式は、複式簿記を知っている人にとっては、違和感と不自由さを感じさせるだろう。
さらに、複数行仕訳を要する入力も向いていないと思われる。
例えば、「掛け売りで1か月後の月末に決済、入金する。入金時の手数料は受け取り側が負担する。」といったような取引の仕訳は向いていない。freeなどは振替伝票からの入力ができるようなので、入力自体は可能と思われるが、簿記を意識させない入力方式とは相反するであろう。
結局のところ記帳ソフトは、現金取引主体の比較的単純な取引が多く、今後とも白色申告を予定している人を対象にしていると思われる。

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Posted by kondo