遠隔サポートサービスに潜むセキュリティ・リスク
大手プロバイダー/電気通信事業者から無料体験モニター募集のメールが届いた。 一見、PCの操作に不慣れな人にとっては便利そうなサービスである。 しかし、ネットバンキングの操作までオペレーターがサポートするとなると話は別である。セキュリティ対策が大いに気になる。 今ひとつ気になるのは、インターネットバンキングにおける不正送金の事件が近年急増している点である。「情報セキュリティ白書2014」によれば、2013年に国内のインターネットバンキングを狙った不正送金の年間被害額は、過去最大の約14億600万円に上る。また、被害に遭った金融機関の数も過去最多の32行であった。これは個人のインターネットバンキングを契約している口座が増えていることとも無関係ではあるまい(個人のインターネットバンキングの口座は約6,600万口座)。(※) このように本サービスにはいろいろと気になる点があったので、事業者にメールで問い合わせてみた。 遠隔サポートは、信頼できる人にヘルプを依頼することが前提だと考えられる。ヘルプを依頼する人はPCの操作に不慣れで、ITの知識も十分でないことが想定される。 従って、サービスを提供する側は、どのようなセキュリティリスクがあり、それに対してどう対策しているのかをユーザー側に示し、提供するサービスが信頼するに足ることを説明する責任があるように思うのだが。 |
|
(※)補足1 |
|
補足2 国民生活センターによれば、「遠隔操作によるプロバイダ変更の勧誘トラブル」に関する相談件数が急増しているようである。2014年度の相談件数は9月の時点で約1,500件にのぼる。不用意に遠隔操作ソフトをインストールしないようIPAでも注意喚起している。 遠隔操作を使用したサービスを利用する場合は、サービス提供事業者とサービス内容が信頼できるものか十分に確認する必要がある。 |
2018年5月追記 偽のウィルス警告と遠隔操作を悪用した詐欺まがいの事件が発生している、とIPAが注意を促している。 事件の手口は以下のとおりである(IPAのサイトより引用)。 ・インターネットでウェブサイトを見ていたら、いきなり「パソコンがウイルス感染している」という警告画面が出てきて、無料のセキュリティソフトのダウンロードを促された。 ・ソフトをダウンロードしてパソコンを検査したらウイルスがたくさん検出された。 ・その後、有償版のセキュリティソフトを購入する必要があると表示され、クレジットカードでソフトを購入した。 ・ソフトを有効化するために相手に電話をしたら片言の日本語を話す人が出て、遠隔操作ソフトを介してパソコンを2時間くらい操作された。 ・チェックと対策を実施したとのことで、サポート契約料の支払いを要求され、クレジットカードで支払いをしてしまった。 ・後に詐欺だと聞いたが、入れてしまったソフトはどうすればよいのか。 |
|
2019年6月 追記 「サポート詐欺」が増加中 上記(2018年5月の追記)で紹介したサポート詐欺が増加しているようだ。 情報処理推進機構(IPA)には、2019年1月から3月までの3か月間に500件を超える相談が寄せられたという。 攻撃者は、「ウィルス感染」や「システムの不調」を示す「偽の」警告画面を表示して、サポート窓口に電話を掛けるように誘導する。ユーザが慌てて電話を掛けると、遠隔操作ツールをインストールするように仕向けるという手口である。マイクロソフトの技術サポート窓口に見せかけた「偽の」警告画面も見つかっているという。 |