マーケティングオートメーション

マーケティング業界はIT業界に負けず劣らずジャーゴン(業界の造語/流行り言葉)が多いと感じる。マーケティングの世界で注目を集めている流行り言葉の1つに「マーケティングオートメーション」がある(この言葉自体はもっと以前から存在していたようだが)。
BtoCの分野ではWebマーケティングが随分と進展したように見えるが、BtoBの分野はまだまだ遅れているようだ。マーケティングオートメーションは、(ここでは主にBtoBにおいて)ITのツールを使うことで営業部門の効率化と、特に営業活動の質を高めることを目的とした活動(デジタルマーケティング)である。

今やBtoBの世界でも、顧客はWebから情報を収集し、Web経由で資料を請求し、Webから収集した情報をもとに商品/製品の比較・選定を行っている。ひと昔前であれば営業担当者がカタログや資料を持って見込み客に説明に出向いていたものが、今や大抵の見込み客は、自らWebを検索して情報を収集しているのである。
商品が成約に結び付くまでの購買決定プロセスを、
Attention(認知) → Interest(興味) → Desire(欲求) → Memory(記憶)→ Action(決定) → Satisfaction(満足)
とするならば、前工程のAttentionからDesireあたりまではWebやメールマガジン、あるいはLINEメッセージなどでカバーし、営業担当者は、顧客を成約に至らしめるための、より付加価値の高い後工程の仕事に注力する。
このように前工程を中心にITツールがカバーすることで、営業部門の効率化と営業活動の質の向上を図る。

購買決定プロセスの前工程を担うチャネルである、Webサイト(ここでは主にPCを前提としたWebサイト)や、スマートフォン向けのサイト、メールマガジンなどでは、顧客の関心レベルに応じたコンテンツを揃える必要がある。(営業がPushするのではなく顧客の側から)Webサイトを探し出してもらい、関心のある情報を入手してもらうことが重要だからだ。
AttentionやInterestの段階では、顧客が関心を持つと想定されるコンテンツ(例えば入門レベル、初級者レベルの情報コンテンツ)を充実させる必要がある。また、この段階(AttentionやInterest)では、顧客はPCではなく、主にスマートフォンからアクセスしてくることが多いかもしれない。
一方、Desireあたりの段階になると、顧客は購入に向けた行動をとるので、より詳細な製品仕様や価格情報、競合他社の情報を入手するために、スマートフォンではなくPCからアクセスしてくる確率が高まるだろう。
このように、適切なチャネルと適切なコンテンツの組み合せを考えて顧客にアプローチし、その結果を検証する、仮説検証サイクル(PDCAサイクル)を廻すことも重要になってくる。

このマーケティングオートメーション、ITの側から見ると特段新しい技術が使われているわけではないように見える。ツール/システムの中核になるのが、顧客属性や接触履歴を管理するための顧客管理システム、またはCRM(Customer Relationship Management)システムである。
CRMが日本に導入されたのは1990年代後半といわれているから、結構昔からあるシステムである。もっとも当時は話題ばかりが先行していたようだが。
昨今は個人情報の流出が社会問題になるケースが多いから、顧客情報に関連するシステムでは、セキュリティの観点からのシステム設計、運用設計を行うことが重要なポイントになるだろう。

次にWebコンテンツを作成するツール。顧客の関心レベルに応じてコンテンツを簡単に追加、更新出来ることが重要だ。最近はスマートフォンからアクセスするケースが増えているから、スマートフォン向けの専用サイトを用意するのか、レシポンシブWebデザインを採用するのか、といったあたりも検討が必要になるだろう。そして、Webサイトのアクセスログを解析するツールも必要になってくる。
AttentionやInterestの段階では、顧客にコンテンツを見つけてもらう必要があるから、SEO対策(検索エンジン最適化)も必要になる。このSEO対策、かつては、外部対策(外部サイトから自社サイトへの優良なリンクを増やすこと)や、内部対策(自社サイト内のリンクの充実や、サイトの内部構造を最適化すること)、特にキーワードの適切な埋め込みが重要だと言われていたが、最近はこれらのテクニカルな対策は必ずしも通用しなくなってきたと言われている。
顧客が欲している情報を的確に(情報の鮮度と、コンテンツの追加・更新の頻度に留意して)Webサイトにアップしていくことが重要になる。すなわち、SEO対策としては、小手先の技術よりも、コンテンツの質と鮮度、ボリュームを向上する施策の方が効果が高いと考えるべきだろう。

BtoCの分野ではオムニチャネルという言葉をよく目にするようになった。これはオンラインストアや実店舗(およびカタログ通販など)あらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合することである。チャネルを統合することで、あらゆる顧客接点から商品を注文・購入できるようにし、例えばWeb上で注文して実店舗で商品を受け取るといった、商品提供の利便性と柔軟性を高めることが狙いである。
オムニチャネルと同じような言葉に「クリック&モルタル」がある。こちらは既に一昔前の流行語になってしまったようだが、インターネット(クリック)のメリットと実店舗(モルタル)のメリットを組み合わせるビジネス手法のことである。
Webとリアルのチャネルを統合すると、やがて顧客データも統合する方向へと進む。すなわち、Webページの閲覧や商品購入などの履歴データと、実店舗からのPOSデータを統合して管理するデータベースシステム(DWH)である。

このように、近年のマーケティングはITと密接にかかわるようになってきたから、ITの知識とマーケティングに関する知識の両方を有する人材を確保することが業界の課題になっているようだ。

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