2016年 7月

AR(Augmented Reality:拡張現実)とは、現実の風景にコンピューターが作り出した情報(画像など)を重ね合わせる技術である。
一方、VR(Virtual Reality:仮想現実)とは、コンピューターの中に仮想的な世界を作りあげる技術である。どちらも、ヘッドマウントディスプレー(HMD)などを装着して、映し出された映像があたかも実在するかのような体験をユーザーに提供する。
7月22日に日本国内で配信が始まったポケモンGOはARを活用したゲームである。ゲームの詳細はいろいろなメディアが報じているから、ここでは割愛する。
ポケモンGOは日本で配信される前から(アメリカなどで)社会現象とまでいわれるほどのブームを巻き起こしている。さらにこのゲームのために、歩きスマホをする人が増え、これに起因する事故やトラブルも相次いで報じられている。
なぜこれほどブームになっているのか、我々年寄り世代には今一つ理解できない・・・・。が、どうやら、現実の風景の中にポケモンが登場し、それを獲得するという体験が、特に少年時代ポケモンに親しんだ人たちに支持されているようである。
今までのゲームはテレビやPC、ゲーム機の液晶画面のなかの仮想世界に閉じていたが、ポケモンGOはこれをリアルな世界に、すなわち液晶画面から外界へと展開したところが特徴だといえる。
そして、今までにない新しい体験をユーザーに提供した。この新しい体験が人々の潜在ニーズを掘り起こしたといえる。

一方、VRはゲームなどの個人利用にとどまらず、産業利用の方も進んでいる。日経コンピューター(2016年7月21日号)にいくつかの事例が紹介されている。
土木工事の事例では、作業仕掛中の状況や完成形をコンピュータのなかに作り出し、VR映像を活用して作業手順の確認などが行われている。
データーセンターの事例では、サーバールームの気流の動きをVR映像で見える化することで、空調の設計などに利用している。
医療分野では外科手術への利用が紹介されている。
患者の体をCTスキャンで撮影して2次元の画像データを取得する。これを3Dデータに変換した後、VR映像を作成する。ヘッドマウントディスプレーでVR映像を見ながら手術のシミュレーションができる。
さらにこのシステムと3Dプリンターを組み合わせることで、患者の臓器の模型を作ることさえ可能だ。

VRを使って、住宅の内装を展示できるシステムも紹介されている。住宅の設計図(平面の間取り図)から、完成時の立体イメージをコンピューター上に作り出すソフトに、マイホームデザイナーという製品がある。
立体イメージは外観だけではない。室内の様子(内装)も可視化できる。この製品、PRO版は高価だが、普及版は手頃な価格で入手できる。
このマイホームデザイナーとヘッドマウントディスプレーを組み合わせることで、あたかも住宅の中にいるような体験ができる。

現実の世界ではありえないものを、いかにも存在するかのようにリアルに表現する方法は映画の世界でも古くから試みられてきた。
怪獣映画、昔は怪獣の着ぐるみを人間が着て演じていたが、最近はCGが使われる。CGでは、コンピューターが作り出した怪獣と、現実の俳優を戦わせることも出来るようだ。
この種の手法で作成される映画、その撮影現場の風景が時々紹介されるが、これは実に奇妙な光景である。緑色の、何の変哲もない物体と俳優が格闘していたりする。
しかし、これが出来上がると、現実には存在しない怪獣と俳優が格闘しているという、リアルな映像が出来上がる。俳優も想像力たくましく演じなければならないから、なかなか大変だろう。

ARにしろVRにしろ、ビジネスの中心はコンテンツである。(もちろん仮想空間や仮想的な物体を作り出す製品・システム(モノ)も重要ではあるが)
特にポケモンGOは、モノではなく、今までにない新しい体験がビジネスになっている。社会が成熟してくると、モノに対する執着が少なくなり、新しい体験型のサービスが発展するということだろう。
今後も、バーチャルとリアルを組み合わせた新しいアイデアがヒット商品につながる可能性は高いと考えられる。

雑感のINDEX

Update

2016年7月
« 6月   8月 »
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

Navigation