EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)
EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)は、プロジェクトマネジメントのための道具であるが、これを実際に使用しているプロジェクトは以外に少ない(というのが私の感想である)。
EVMが使われない理由が何か、正確なことは知らないが、
・尺度のひとつである価値として、金額を使用することが基本である ・プロジェクトが生み出した価値(成果物の価値)のほかに、価値を生み出すために要した「コスト」を報告しなければならない ・各指標値を導出するのか煩雑だと思われている 等が理由ではないかと推測する。 特にコストを報告することに対しては、
・受注側のコスト構造が全て見えてしまうのではないか ・請負契約にもかかわらずコストを報告する必要があるのか 等の懸念があるのではないかと推測する。 EVMでは、価値として金額ではなく工数(人・時など)を使うこともできるし、マイクロソフトのプロジェクト管理ソフトである「Microsoft Project」などのツールを使えば比較的簡単に指標値を導出できる。
ここでは、EVMで使用される基本的な指標を掲載する。参考にしたのは「解説:アーンド・バリュー・マネジメント」(著:富永章、発行:プロジェクトマネジメント学会)である。
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種類 |
用語 |
単位 |
意味 |
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状態 |
PV |
Planned Value |
価値 |
計画値、出来高計画値 |
BAC |
Budget at Completion |
プロジェクト総予算、完了までの予算 |
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EV |
Earned Value |
出来高、出来高実績値 |
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AC |
Actual Cost |
実コスト、実コスト累積額 |
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SV |
Schedule Variance |
スケジュール差異、 SV=EV-PV |
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CV |
Cost Variance |
コスト差異、 CV=EV-AC |
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TV |
Time Variance |
時間 |
期間差異、進捗 |
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SAC |
Schedule at Completion |
当初予定期間、プロジェクト予定期間 |
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指標 |
PC |
Percent of Completion |
% |
出来高%、 PC=EV/BAC*100 |
SPI |
Schedule Performance Index |
無し |
スケジュール効率、SPI=EV/PV |
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CPI |
Cost Performance Index |
コスト効率、CPI=EV/AC |
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CR |
Critical Ratio |
効率指標、効率性指標、CR=SPI*CPI |
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TCPI |
To Complete Performance Index |
完了までの所要効率、残所要コスト効率 |
補足説明 |
EV |
作業によって作り出される価値、進捗の実績を示すもの |
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SV |
EVとPVの差。プラスの場合は予定よりも進捗している。 |
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CV |
EVとACの差。プラスの場合は予定価値を生み出すためのコストよりも低コストである。 |
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TV |
予定に対する進捗の遅れ、または進みの期間。 |
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SAC |
計画で定められているプロジェクト期間。ベースライン・スケジュール。 |
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PC |
BACに対するEVの割合。プロジェクトの総価値に対して何%出来ているか。 |
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SPI |
EV/PV、1より大きい場合はスケジュール効率が高いことを表す。 |
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CPI |
EV/AC、1より大きい場合はコスト効率が高いことを表す。 |
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CR |
SPI*CPI、1より大きい場合は予定よりも効率が高いことを表す。 |
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TCPI |
(BAC-EV)/(BAC-AC)、残り作業を残りの予算で完了するために必要なコスト効率。 |
EVMの概念図 |
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