2015年問題のその後

今から約3年前、IT業界の「2015年問題」を取り上げた。当時、IT系の雑誌やネット上の記事で話題になり、そして流行語にもなった。
これは2015年~2017年に掛けてITエンジニアが大幅に不足するという問題である。その主な原因は、みずほ銀行をはじめとした大規模プロジェクトがこの頃に集中していたためである。
そして、この反動で2018年以降はITエンジニアが余剰になるとうい説もあった。
この問題に対する私見として、人材不足はIT業界だけでなく、建設業界や外食産業でも顕在化していること、そして労働力人口が減少していく日本において、人材不足は長期的な問題(経営課題)になることを記した。
すなわち、2018年以降もITエンジニアの不足は続く可能性が高いということである。

さて、最近の労働需給の傾向はどうであろう。
今、物流業界ではヤマト運輸が話題になっている。人手不足とドライバーの労働環境改善のため、運賃の値上げやサービスの見直しを進めている。
最大の取引先であるアマゾン・ドット・コムが売りにしている「当日」配送サービスについても、その受託業務から手を引くようだ。さらに宅配サービスの「時間帯指定」にもメスが入る可能性が高い。
この影響はアマゾンに限らず、他の通販業者にも大きな影響を与えそうだ。
建設業界はどうかというと、こちらは意外なことに思ったほど人手不足ではないらしい。
2016年10月の日経新聞の記事に、日本建設業連合会(日建連)会長が「建設業界は当面、人手不足はない(人手不足は虚像だ)」として、施工能力に不安はないとの見解を示した、とある。
但し、技能労働者の高齢化は問題で、中長期的には人手不足に陥る可能性があるとしている。また、この記事では触れていないが、若者の建設業離れも将来の人手不足の要因になるだろう。
介護事業に関しては、2017年1月の毎日新聞に、「2016年の介護サービス事業者の倒産件数(負債額1,000万円以上)が108件に上り、介護保険制度が始まった00年以降で最多となったことが11日、東京商工リサーチのまとめで分かった。事業者に支払われる介護報酬が15年に引き下げられ、人手不足が深刻になっていることなどが主な要因」
とある。
介護事業の人手不足の原因には、賃金の低さや、仕事のきつさ、社会的評価の低さ、などがあるようだ。
IT業界に関しては、経済産業省が2016年6月に公表した「IT人材の最新動向と将来推計」がある。それによれば、
・マクロな規模でのIT人材は、現在の人材数は約90万人、不足数は約17万人と推計された。
今後2019年をピークに人材供給は減少傾向となり、より一層不足数が拡大する。
・情報セキュリティ人材は、現在約28万人、不足数は約13万人であるが、2020年には不足数が20万人弱に拡大。
・先端IT人材は、現在約9.7万人、不足数は約1.5万人であるが、2020年には不足数が4.8万人に拡大。
と、こちらも今後人材不足が深刻さを増すと予測している。
2015年問題の要因の1つとされたみずほ銀行の大規模プロジェクトであるが、実は本番移行を2度延期している。
1度目の延期では、開発完了を2016年3月から同年12月まで延長すると表明。2度目の延期では開発完了が数カ月延びると表明している。
みずほ銀行は過去に大規模なトラブルを2回起こしていることから、本番移行に慎重にならざるを得ない。
過去のトラブルの1度目は2002年4月。旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行が合併してスタートしたみずほフィナンシャルグループは、営業初日から口座振替の遅延やATMのトラブルが発生した。
2度目は2011年3月。東日本大震災の義援金の振り込みが集中したことが引き金となり、振込処理の遅れやATMの取引停止が発生し、障害復旧に1週間以上を要した。
人手不足の解決策を考えるにあたり、2014年当時と比べて変わってきているのは、AI(人工知能)やロボットに対する期待である。人間が行う作業の一部をAIやロボットが代替する時代が、そう遠くない将来やってくるだろうという期待である。
最近話題に上る業界用語にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がある。これはPCを使うオフィス業務を効率化するツールであり、EXCELのマクロに似た仕組みとして紹介されている。
RPA専用ソフトは、エクセルに限らず、ウェブアプリケーションやメールソフトなどに対する操作についても、操作の自動記録と再現を可能にしている。
まだ定型処理を再現するレベルであるが、AIを組み込んでその守備範囲を広げていく可能性もあるのではないだろうか。

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